お や つ    




冬の日の「おやつ」は、干した小魚

暖かい薪ストーブの側に座って、干したカレイを食べる。
ちょうど具合の良い石を持ち込んで台にすると、あとは根気よく金槌で叩く。
何度も何度も叩いて、そうして柔らかくなったら皮をむしって食べる。

叩くお姉ちゃんも、皮をむしる妹も真剣で、たくましい。

小魚の干物は、他にハゼやウグイもあるが
カレイは干すとカンカンに固くなっており、叩いて柔らかくするのも一苦労。
それでも自然の味は美味しく、食べることに夢中になる。





電灯の下でミシンを踏む母


家にいて、ミシンに向かうことができるのは
外の仕事の少ない冬の日か、夜のこと。
魔法のように、姉妹おそろいの服を作ってくれた。



右上に見えているのは
冬になって外から中に取り込んだ干物で、
上の写真で、おやつに食べているのと同じ、小さなカレイ










冬休みの、ある日の午後

ストーブにあたりながら、母にくっついていれば温かさも格別。
お湯を沸かす。ご飯を炊く。焼きリンゴも粉ふき芋も、みなストーブで作る。









津軽の冬は厳しいが、家族が一つ部屋に集まって過ごす団欒の時を作ってくれる


写真 左

みなで食べているのは「粉ふき芋」
鍋はまだ湯気をあげていて、熱々をフーフーいいながら頬張る。
父も母も一緒の時がたのしい。



写真 右

焼きあがるのを待ちながら新聞を読む母

ストーブの上にあるのは、昨日作った「お団子」
上手い具合に焼けると、中のアンコが熱く、とろけるように美味しくなる









昔々あったとさ・・・・・ 母が教えてくれる、「むがしっこ(昔話)」に夢中

ストーブの上にあるのはリンゴ
焼きリンゴにすると、一番美味しかったのは「雪の下(国光)」
今はもう他のリンゴに押されて、店に並ぶことも少なく、寂しくなってしまった。







♪  かーれこ 焼いで  とっこらがして  もぉっかい 焼いでぇ  とっこらがして・・・
みそっこつけで  あむあむあむー
♪カレイを  焼いて  ひっくり返して  もう一回   焼いて   ひっくり返して・・・   
味噌っこを付けて あむあむあむ


寒い日、外で夢中になって遊んで、それから家に帰る
足も手も、かじかんで冷たくなっていた。
そのキチキチに冷たい手を母に預けると、ストーブのまえに座って抱き上げ、
そうして手のひらを温めながら歌ってくれる。

「かーれこ焼いでぇ とっこらがしてぇー」手のひらをカレイに見立てて歌う
嬉しくて、何べんも「もぉっかい・もぉっかい(もう一回・もう一回)」と、せがんだ。
歌の終わりに「あむあむあむー」と言いながら、小さな手を母の口元に運ぶのが大好きだったのである。



味噌? 醤油 ?

♪ カレイを焼いて ひっくり返して もう一度焼いて ひっくり返して
味噌っこ付けて あむあむあむ〜 ♪

この時、焼いたカレイに付けるのは味噌か醤油か
実のところ私自身にはっきりした記憶はない、が、しかし
友人二名は醤油と記憶、そして私の姉は「味噌だよ、味噌しかないべさ」

つまり、母は田楽が好きだったのではないか。
豆ボラ(ボラの稚魚で10p程のもの)やチカ、小さなウグイも
焼いて味噌をつけ、頭から丸ごと食べさせられたものだ。

小魚なので鱗以外はそのまま、頭もはらわたも取っていない
ほろ苦い美味しさを今でも覚えている。

他の地区では ♪醤油っこつけで〜 と歌っていたところを
母は ♪ 味噌っこつけで〜 と私達に歌って聞かせていたのかもしれない




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